宿泊体験交流施設/リノベーション/2000〜

新潟県上越市浦川原区にある旧月影小学校を再生活用した、宿泊体験交流施設です。月影の郷を活動拠点として、地域の方々が運営委員会をつくり、交流事業を行なっています。

※日本女子大学篠原聡子研究室で担当したWORKSです。

全景

月影の郷プロジェクト概要

地域の少子化・過疎化により閉校となった、新潟県上越市・月影小学校の再生計画です。企画、設計は、地元浦川原村(2005年に上越市と合併)と以前から交流のあった法政大学渡辺研究室と、同じく東京周辺の建築意匠系研究室である横浜国立大学北山研究室・早稲田大学古谷研究室・日本女子大学篠原研究室が行ないました。
2001年に小学校閉校が決定して以来、この4つの研究室は、他学間共同研究プロジェクトとして地元住民とのワークショップを開き、地域の核となってきた小学校をいかに残すか、議論を繰り返してきました。3年におよぶワークショップの過程では、アーティスト・イン・レジデンスへの転用なども目論まれていましたが、結果的に、農林水産省からの補助金を受け、地元在来のアグリツーリズム(農村田舎体験)を基盤とした、宿泊体験交流施設へと用途転用することになりました。
そして、このプロジェクトの特質すべき点である大学院生による設計チームの施設との継続的な関わりは、設計・施工・運営・研究と広範にわたり、そのことが施設・事業の独自性と持続性に大いに寄与しています。

2階宿泊室
普通教室を半分にしてロフトを設けた7名定員の宿泊室
1階ランチルーム
地元住民も気軽に立ち寄れ、宿泊客との交流が期待される場所


民具展示計画(2008〜2010)

私が月影の郷プロジェクトに携わったは、篠原聡子研究室に在籍していた2008〜2010年にかけて。主に、3階教室を民具展示室へリノベーションする計画を担当しました。

3階平面図
春・夏の民具室(元教室)
秋・冬の民具室(元教室)
民具を使った動きをパラパラマンガとして記録した展示室(元廊下)

特に思い出深いのは、民具を展示する藁の断面の塊をイメージさせる什器の設計・制作と、ワークショップの計画・運営です。

藁断面什器
地域の子どもたちとの藁マットづくりワークショップ
藁マットを天板にあしらえたテーブル

地域の子どもたちとのワークショップの題材として、むしろ編みから着想を得た藁マットづくり。この時に制作した「藁マット編み機」と「藁マットづくりの教え方指南書」が、5年たった今でも活躍し、藁マットづくりは工芸体験のメニューとして人気となっています。

藁マット編み機
藁マットづくりの教え方指南書

月影の郷プロジェクトは、新建築2005年9月号をはじめ、各種メディアに取り上げていただいています。ぜひご覧になってください。