友人の新村隆慶さん・康子さんの演奏会へ行きました。隆慶さんはヴァイオリニスト、康子さんは薩摩琵琶奏者です。

ヴァイオリンと枇杷。どちらも弦楽器ですが、前者の弦はスチール・ナイロン、後者は絹でできています。また、音の出し方も弓と撥(ばち)で異なるので、聴き比べるとまったく印象の異なる楽器です。ですが、目を閉じ音に身をゆだねていると、楽器からふるえ伝う揺れが重なりあう瞬間があり、それは、温度の異なる水が出会い混じり合うような、心地良くゆったりとした感覚です。2人の即興演奏では、湧き上がるイメージを手帳に描きつけずにはいられませんでした。

音楽に向き合う時、その意味を見つけようとするのではなく、ただ音に身体をひらき委ねる楽しみを教えてくれたのは、彼ら。今までも事あるごとに、音を聴かせてもらいました。会場に飾られていた桜のように、ほころびかけた蕾であるわたしには、2人の音の導きが心強く感じます。

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帰り道、一緒に鑑賞した友人と「音に清められたね」と、おしゃべり。音が身体を通り抜けて、禊がれたような身軽さです。