庭の八重桜が満開です。

幾重にも重ねた裳裾をふわりとひろげた、華やかな貴女たち。その恵みをいただきにやってきた鳥たちと、賑やかな宴を催しているようです。

八重桜は花と葉が一緒に芽吹きます。緑色と濃いピンク色、そしてぷつぷつとした幹の焦げ茶色の色合わせは、まさに桜餅…!!美しいだけではなく、目に美味しい花なのです。

そして頃合いを見計らって、花がひらききってしまう前に、先日の八重桜酵母につづいて桜の塩漬けも仕込みました。

小倉百人一首のなかに、伊勢大輔(いせのたいふ)が八重桜を華やかに詠んだ歌があります。

いにしえの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に にほひぬふかな

語感からも、イメージのしやすさからも、わかりやすい故にこれといった思い入れもない歌なのですが、生きた時代が1000年違えど、同じ花を愛でていることには感動を覚えます。

彼女が受け取ったとされる、奈良から宮中への八重桜の献上品。どのような咲きぶりだったのでしょうか。