どんな町にも草木とともに建物が根を生やし、ひとが暮らし、わたしたちと似たようなことをしたり思いつかないようなことをしたりして、そのひとつひとつに尊い物語があります。この絵本には、ただ異国の美しい風景に胸をときめかせるだけでなく、日々暮らしを積み重ねる喜びを分かち合える、そんなチカラがあるように感じるのです。

この絵本を譲っていただいた方は「(大切にしていたけれど、もう自分にとっては)これは図書館にあればよい本」と言っていたのですが、わたしはもう少しだけ本棚に置いておこうと思います。

【旅の絵本/安野光雅】