「Sogga pere et fils LE SAKE EROTIQUE」は、小布施ワイナリーが醸した日本酒です。千駄木の伊勢五本店さんに置かれていたので、家族が買ってきてくれました。今回は4号酵母を使った「QUATRO」を。

この「Sogga pere et fils 」シリーズが好きななところは、美味しさはもちろん、その真剣さと遊び心のバランス。そもそも本業のワインづくりだけでも大変な重労働なはずなのに、その閑散期に日本酒を”趣味”で作っていることが驚きなのですが…裏ラベルに書いてある彼らの熱きポリシーを、そのまま引用させていただきます。


①ブルゴーニュワイン的思想で長野産美山錦、自社産(無農薬/収量制限)美山錦のみ使用。

②吟醸香発生酵母仕込から一線を画し培養酵母を入れない古典生酛や我々が70年ぶりに復活させた1,2,3,4,5号酵母、戦前発見の6号系酵母を使う(7号以降の戦後酵母は不使用)。

③全商品生酛。

④活性炭、濾過助剤、醸造用乳酸、除酸剤、酵素、培養乳酸菌、培養硝酸還元菌、無機塩類、醸造アルコールなど徹頭徹尾、無添加。現代生酛ではない。

⑤本業で使うワイン設備をワインと共用し趣味の醸造に留める。


わかりにくい言葉が並んでいて小難しく感じてしまうかもしれないですが、一風変わった困難な日本酒づくり、しかも本来やらなくてもよいことを、楽しみながら取り組んでいることが伝わってきます。とても、ロマンティック。

はじめて「Sogga pere et fils 」シリーズを飲んだ時に思い出したのが、井上ひさしの有名な言葉。


むずかしいことをやさしく、
やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、
おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに


この言葉は、彼が主催の劇団「こまつ座」の構想を練っていた時に生まれたものだそうで、わたしは座右の銘としています。このように生きたい、と常日頃試みているのですが、なかなか理想通りにはゆかず…だからこそ、小布施ワイナリーの伸びやかさには憧れがあります。恥ずかしながら、少しの嫉妬とともに。

そういえば、「QUATRO」は華やかな香りとともに、酸味もありました。あれは嫉妬の味だったのかしら…?