「美呆(みほう)」という言葉が好きです。

そんな言葉、聞いたことないって?
えぇ、そうでしょう。これは、北海道にあるお菓子屋さんでも詩人でもある方が(おそらく)名づけた言葉です。

彼が定義する「美呆」とは、

日々、畑に立つ私たち。
春に夏に、お日様の光さす草むらの畑の中、
作業の手をとめて、ぼーっとする時があります。
そんな時、私たちは、草や虫と分け隔てを感じず、
時を忘れ、私を忘れ、不思議な「時」の中に入ります。
美呆とは、そうしたときに感じる、解放された永遠性のこと。

とのこと。

わたしは畑仕事をすることはないですが、「美呆」という言葉を知る前から、日常の中でも非日常の中でも、「美呆」を感じる瞬間が多々あったように思います。その感覚に名前がついてからは、家の中で、身の回りで、暮らしの中で、「美呆」な場所を意識してつくったり、身を置くように。

今日は窓辺の風景に「美呆」を感じる瞬間が。冬の光は砂糖菓子のような甘さで、わたしの視界をとろけさせてくれます。

北海道の菓子美呆さんのお菓子は、友達が贈ってくれたことがきっかけでお取り寄せを続けています。毎月、箱一杯のお菓子と手紙が一通。少しずつ、でも遠慮なく、祈りを込めてかじりつく。その瞬間の永遠さといったら。

「美呆」への入口は、其処彼処に。