4年目となるてまえみそ倶楽部の味噌仕込み。今回はこの味噌仕込みを中心とする場づくりが広がればいいな…との想いから、参考としてもらうために記録として書き残します。

総字数3851字!長い!長いですが、「わたしにも味噌仕込みの場がつくれるかも…!」と勇気が湧いてくるはず。ぜひぜひ最後まで目を通してみてくださいね。

完成した手づくり味噌
手づくり味噌でうまみたっぷりの豚汁

①前置き

この記録は自宅でやる場合が前提です。味噌仕込みは(わたしのレシピの場合)前日からの浸水が必要なので、面倒がみやすい自宅で開催しています。

逆に言うと、場所を借りなくても自宅でできます。そう考えると、ぐっとハードルが下がりませんか?

②目的

参加者が味噌仕込みの場に集まる目的は、それぞれです。

発酵食品が気になっている人。
昔の人の知恵を受け継ぎたい人。
保存料をできるだけ摂取したくない人。
などなど…

そして、主催者(あなたです)が味噌仕込みをしたい目的もそれぞれです。その理由を明確にすることが第一歩。その内容によって、参加者募集や材料の調達の仕方が変わってくると思います。

わたしの場合は、「さまざまな理由で味噌仕込みに興味を持っている友人をつなげる場」「ひとりでもできることを、みんなで集まってワイワイたのしくできる場」そして「味噌ができあがるまでの時間を一緒に待つ場」をつくることを目的としています。

③事前準備

・まず、参加者を集める

前述したように、わたしは「さまざまな理由で味噌仕込みに興味を持っている友人をつなげる場」を目的にしているので、基本的には友人のみに声をかけます。

普段から味噌仕込みを続けていることをアピールすると、ふとした会話の中で「わたしも味噌を仕込みたかった」という友人のニーズが掘り出せたりします。なので、急にではなく前もって「来年は味噌仕込みをしたい!」と宣言しておくのをオススメします。

・次に、麹を確保する

味噌の材料で、一番手に入れにくいのが麹です。冷凍麹であれば季節を問わず出回っているのですが、生麹は冬だけ。麹のフレッシュさに拘りたい場合は麹屋さんに予約するなどの段取りが必要です。

場合によっては、2〜3ヶ月前から予約が必要なこともあります。なので、まずは人数分の麹を確保!

・そして、大豆と塩を購入

残りの材料の大豆と塩を購入します。麹に比べると手に入れやすいですが、地大豆などに拘る場合は、早め早めの購入が大切。同じようなことを考えて、味噌仕込みシーズンに地大豆を確保しようとする方が世にはたくさんいるんです。

・やっと、費用の算出

材料の手配&購入が済んで、やっと費用がわかります。電卓をはじいて、参加者の方へお伝えします。

つまり、メンバーを募るタイミングでは費用がはっきりしません。ですので、募集時に「費用は材料の手配後に決まること」「市場に流通している味噌より割高なこと」を伝える必要があります。

④ビフォーケア

参加者へ、持ち物や日時、必要があれば自宅への道順などを伝えます。特に、味噌を仕込むための容器はすぐに準備できるものではないので、事前にどのような容器がオススメかを伝えます。

また、はじめて味噌仕込みをする人には疑問点や心配事もあったりするので、事前のやりとりを丁寧にできるといいですね。安心して当日楽しむためにも、できるだけ心配事の芽はつんでおきましょう。

わたしはfacebookのイベントページを活用しています。持ち物などのお知らせだけではなく、ちょっとした小話や、「麹キープしました!」なんて状況を投稿することで、当日までのワクワク感を育めたら…と。他にどんな人が参加するのかを事前にゆるく知れる点も、参加者の安心感につながるかなと思います。

⑤前日準備

わたしのレシピの場合は24時間前から大豆に浸水をスタート。家中ありったけの鍋釜ボウルを駆使します。

大豆は浸水すると2倍ほどの嵩に膨れるので、容器には余裕をみてくださいね。そして、浸水開始から数時間後には、水が足りているかのチェックも忘れずに。

浸水中の大豆たち

⑥当日準備

数時間前から:道具の準備とコーナーづくり

味噌仕込みにつかう道具や材料を準備して、それぞれの作業のコーナー分けをします。ここからはわかりやすいように写真多めでお伝えします。

煮大豆を計り分けるゾーン
煮大豆をつぶすゾーン
塩と麹を計るゾーン
(おまけ)おやつゾーン
(おまけ)飲み物ゾーン
大きめのゴミ箱

レシピは人数分印刷して配りますが、作業中は手が汚れてしまうもの。たびたび洗う面倒がないように、レシピは掲示もしておきます。

1時間ちょっと前から:水煮大豆づくり

仕込み開始30分前くらいに水煮大豆ができあがるように、大豆を煮始めます。だいたい1時間ほどかかるので1時間ちょっと前から、圧力鍋の場合は時間短縮できそうですね。

鍋やコンロが足りなくて全員分の水煮が一気につくれない場合は、2サイクルに分けます。この場合は1サイクル目をこの「仕込み開始30分前くらいに水煮大豆ができあがる」タイミングで行い、すぐに別容器に移したあと、2サイクル目の水煮をスタートさせ、後ほどの工程で工夫をします。この工夫については後述しますね。

台所が大豆で大賑わい…
どんどん出てくる灰汁をとりながら

この水煮の工程は、場合によっては参加者も一緒にやってもよいかもしれません。わたしの場合は「仕込む量が多いこと」「台所が狭いこと」から、事前にやることにしています。

⑦味噌仕込みスタート

参加者が集まったら、まずは簡単な自己紹介をしてもらいます。作業中に会話がはずみやすくするためです。なんたって「ひとりでもできることを、みんなで集まってワイワイたのしくできる場」を目指していますから。

次に、レシピを読み上げてみんなで確認します。1年に1度しかしない作業なので、経験者でも工程を忘れてしまうもの。回を繰り返してきた場合にも省かない方がよい時間です。

そしていよいよ、味噌仕込みがスタート。参加者と一緒に味噌仕込みを進めます。

水煮大豆を計り分ける
大豆を手潰し
ミンサーを使う場合も
塩切り麹をつくる

ここで、先ほどの2サイクルに分ける場合の工夫を。

スタートの段階で、参加者を「はじめに大豆班」と「はじめに塩切り麹班」の2チームに分けます。「はじめに大豆班」が1サイクル目の水煮大豆の計り分け&潰す作業をしている間に、「はじめに塩切り麹班」は塩と麹を計り分けて塩切り麹をつくります。そして、場がスタートして30分後くらいには2サイクル目の水煮大豆が仕上がっているので、少し冷ましてから、今度は「はじめに塩切り麹班」は大豆作業に着手し、「はじめに大豆班」は大豆作業が終わり次第、塩切り麹づくりをはじめます。

私の経験上、この2サイクルの手法で、8〜10人で合計16〜20キロの味噌仕込みを、3時間で終えられています。

捏ね終えたところ

スピード感がある人と丁寧な人とで作業が終わる時間に差が出てきたり、手間取る人もいるので、遅れている人の手伝いをします。また、洗い物がけっこう出るので、適宜みんなで片付けも進めます。お菓子や飲み物・本などを用意しておいて、時間をつぶせるような工夫をするのもいいですね。

みなが仕込み終えたら、締めの挨拶をして、味噌仕込み終了です。お疲れさまでした…!

⑧アフターフォロー

味噌仕込みは終了しましたが、場は終わっていません!なぜなら、味噌は完成まで時間がかかるもの。仕込んで終わりではなく、「味噌ができあがるまでの時間を一緒に待つ場」をつくってみませんか?

・当日夜(締めの挨拶で済ましてもOK)

参加者が味噌を持ち帰った後、どこにどうやって保存するのかのアナウンスをします。わたしの場合は、重石はそれぞれの家でしてもらうことにしているので、そのお知らせも。

味噌仕込みレシピでよく出てくる「冷暗所で保管」って、具体的にどこ?となる参加者も多いです。自分の経験でわかることをお伝えします。

また、遠方から参加の人やなんらかの理由で希望がある場合は、仕込んだ味噌を自宅まで郵送します。冬季であればクール便でなくても大丈夫です。

・梅雨に入る前

2キロ程度の仕込み量の場合は必要ないと言われていますが、天地返しのアナウンスをします。はじめて仕込む人は、空気に触れないようにうまく蓋ができておらず、この過程ですでにカビが発生している場合もあるので、その確認のためにも天地返しをオススメするのはよいかな…と、わたしは思っています。(ですが、自分ではやりません。笑)

・晩秋

味噌がそろそろ出来上がっていることのアナウンスをします。併せて、完成後の味噌の保管方法についてもお知らせします。

・おまけ

参加者に再度声をかけて、完成した味噌を食べ比べる集いを開きます。同じ時期に、同じ場所で、同じ材料でつくった味噌が、それぞれ違う味に成長していることを実感できて、わたしも参加者も、ぐっと満足度があがって、ますます味噌仕込みがたのしくなりますよ!

それぞれの味噌と、それぞれの味噌料理

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。ここまでが、4年目のてまえみそ倶楽部2018の記録を元にした、味噌仕込みを中心とする場のつくりかた「暫定版」です。来年、再来年と続けて、さらなる気づきをもとにアップデートしてゆきたいと思います。あなたの場で得た知見も、ぜひ教えていただけたら…!

学びはどんどんシェアして、それぞれの場をよりよく育んでゆけるといいですね。