たのしいたのしい不忍ブックストリートの一箱古本市が、今年もあっという間に終わりました。

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▶︎せいこさんのblog

今年の大家さん「ハウスサポート八號店」さんが根津駅すぐということもあってか、古本市スタートの11時前に行列ができるほどの賑わいっぷり。わたしたち「トリとニワトリ」箱は、過去最高の66冊を次の主に手渡すことができました。

今年の「トリとニワトリ」箱とせいこさんとウーフ

せいこさん私物のバスケットに「トリとニワトリ」フラッグがわたしたちの箱づくりの定番。今年は大家さんが屋内ということもあったので、庭に咲いていた小手鞠も飾ってみました。

他の店主さんの箱もそれぞれに魅力的です。もちろんどんな本を売っているかが最重要ポイントではあるのですが、持ち運びのために箱の仕組みが練られていたり、これを「一箱」と呼べるのだろうか…と驚嘆してしまう立体的な箱などもあり、箱そのもののストリーにも目がいってしまいます。すでに不忍ブックストリートの公式HPには全店主さんの箱写真がまとめられていますので、ぜひ訪ねてみてくださいね。

▶︎全店主箱一覧

今回お客さんに「普段はどちらで本屋さんをやられているのですか?」と聞かれたので、「いえいえ、わたしたちはこの街に住む、ただの本好きです。一箱古本市の店主はみな、ただ本が好きな普通の人なんですよ〜!」とお答えしました。

そう。よく勘違いをされがちですが、一箱古本市には誰だって参加できますよ!そして、2005年に不忍ブックストリートから始まった一箱古本市は、今では日本各地で開催されています。なので、本を受け取る側から一歩踏み出すチャンスは、けっこう身近なところにあるんです。

わたしたちは4年前に、それこそ「ノリ」で出店を決めたのがキッカケでしたが、そこで見た景色の美しさに心を奪われ続けています。なので、本が好きな人にはぜひこちら側の景色を見て欲しい…!と、お節介ですが、そう思ってしまうのです。とってもとっても楽しいですよ〜!


同じ会場だった「まにまに文庫」さんは、初めての参加だったそう。そう、わたしたちも敷物の布を準備していなくて、急遽せいこさんのストール(偶然にも鳥柄!)を使わせてもらいました。

「RAINBOW BOOKS」さんは、これまでに300回以上出店されている一箱古本市界の有名人。たくさんのお友達が挨拶に来ていらっしゃいました。(そしてその度にお菓子を渡している気さくなRAINBOWさん…よいひと…)

今年は、私たちが4年前に一箱古本市に出るキッカケをつくってくれた「ベランダ本棚」さんにご挨拶できたこともうれしかったな。

他にも「トリのニワトリ」箱を楽しんでくださった方々が、Twitterにちらほら。

そうそう、今年ももちろん「お買い上げの方に音読のプレゼント」しました。ふつうの本だけじゃなく、レシピ本だって漫画だって、その本の中で一番気に入っている箇所を音読。わたしは歌まで歌っちゃいました…笑。(どうしても音読できない「建築図面集」もあったので、それはその建築がどのように素敵かとうとうと語ろうと思っていたのだけど、売れなかった…残念!)

キラキラ光る飛び出す絵本を読み聞かせするせいこさん
益田ミリのすこしさみしいエッセイを読むわたし

そもそも音読プレゼントは、わたしたちが音読好きであったこと、そしてお客さんとのやりとりをただ本を渡してお金を受け取るだけで終わらせたくなかったことが始まりでした。ですが、音読することによって、わたしたちがそれぞれお世話になったその本と最後の握手ができる感じがあるのにも気づきました。渾身の握手…!

せいこさんがblogに

「本を売ったり、買ったりするだけなら、もっと違う手軽なやり方があるんだろうけど、本ってやっぱり中身だけに用事があるんじゃない。人の読書体験を通過して、人から人へ渡ってくるものだと思う。みんなそれを楽しみに買いにくるし、会いに来るし、お店を出す。」

と書いていて、うんうんと頷く。本は形代のようだなと思ったりもする。

せいこさんとわたしと、この街と、お客さんと、そして何よりも本と。それぞれの背景や歴史があって、それが一箱古本市という場にぴったりとはまって、ぐるぐるとエネルギーが巡ってゆく。

そんなこんなで、身体の中身が全部入れ替わったんじゃないかというくらいのエネルギー交換をしたものだから、家にたどり着いた瞬間にソファに倒れ込んで夢の中へ。もらったエネルギーが身体の中に収まるのにも時間がかかって、日常に戻ってくるのに2日ほどかかりました。そして今、こうしてblogを書いています。

また来年も、この季節にこの街で「トリとニワトリ」箱が開けることを願って。

箱へ足を運んでくれた方、応援してくれた方、見守ってくれた方、この街の方、そして一箱古本市というすばらしい場をつくっている方、ありがとうございました。