数日前からぐっと秋の気配が深まり、先日の完成見学会はここちよい風の通り抜けを感じながらの開催となりました。

遠方にも関わらず、足を運んでくださった方々、ありがとうございました。

北欧好きな住まい手が選ばれたブルーグレイのタイル

今回の住まいは、1500万円の工事費で完成した、20坪ほどのコンパクトでシンプルな無垢の木の家です。

「コンパクト」そして「ローコスト」な住宅は、骨組みと階段の位置、そして生活のボリュームを考えることがとても大切になります。まずは予算から建物全体の大まかなボリュームを決め、そして住まい手へのヒアリングから生活空間のボリュームの大きさ・つなげ方・くぎり方を判断してゆくと、階段の位置が自ずと決まってゆきます。

今回は真ん中に背骨のように階段が通るプラン

また、「ローコスト」であるためには、シンプルで無駄のないデザインを率先して採用することも大切です。

ここで言う「シンプルで無駄のない」とは、凸凹のない隠すデザインではなく、素材と素材を単純につなぎ合わせたデザインということ。いわゆるミニマムデザインとしてイメージされる、つるっとして線の細い表情のかたちは、実は多くの手間がかかってしまっているのです。

規格寸法の木材をつなぎ合わせただけの手すり
簡単な彫り加工をしただけののれん掛け

今回の住まいは、前職であるアトリエフルカワ一級建築士事務所の仕事をお手伝いさせていただきました。わたしが在籍していたころに担当した、鎌倉市の「Root_House」、文京区の「makinoki_House」に続く、コンパクトでシンプルでローコストな住宅のシリーズとしても位置付けられる住まいとなりました。これからの時代の住宅のあり方として、ひとつの提案のかたちです。