東京都現代美術館で始まった 「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」へ行ってきた。

彼によってデザインされた椅子を愛用しているくらいに好きなデザイナーだけれど、椅子とテーブル以外のデザイン、そして彼の人生については知るチャンスが少なかったので、楽しみにしていた展示。どれくらい楽しみにしていたかというと、会期を間違えて、1ヶ月前に美術館入口までうっかり行ってしまったほど…。

とにかくたくさんの椅子が見れたし、写真も撮れた。会期がはじまってすぐだったこともあり人気はまばらで、それをいいことにちゃっかりしゃがみ込んで座面の下までじっくりと観察&スケッチできた。ただ、座れる椅子は映像コーナーにある「折りたたみ机付き講義室用ベンチ」だけだったことが、本当に本当に残念。

家具だけでなく、住宅から高層ビルまで手がけた建築家としてのジャン・プルーヴェの側面も知ることができた。スチール製のポルティークとアルミニウムの外装パネルを採用した「メトロポール」住宅は商業的には成功しなかったようだが、彼の美学がにじみ出ていて、ただただかっこいい。そして、写真で見るよりも人間的なスケール感だったことも好ましかった。

ジャン・プルーヴェが活躍した「工業製品の量産は、人々に健やかな暮らしをもたらす」という社会的理想が生きていた時代のものづくりを見せられると、2022年のわたしたちの暮らしを複雑な面持ちでふりかえりざるを得ない。

7月23日からは東京都美術館で「フィン・ユールとデンマークの椅子」展も開催されている。ほぼ同時代に生きた著名なデザイナーの椅子を知ることができるので、こちらもぜひチェックされたし。


夏の東京都現代美術館といえば、かかしコンクール。今年もすてきなかかしが勢揃いしていた。