同級生の脇本夏子さんがめでたく入選したので、「SDレビュー2021」展へ行ってきました。

▶︎「SDレビュー2021」展 WEBサイト

「ROOF HOUSE」
玉田誠+脇本夏子

木々が生い茂る小高い丘の麓に位置した、大きな屋根で覆われた庭と住宅の計画である。
施主は自然が豊かな環境を気に入り、この地域に移り住むことを決めた。周辺の緑を生かすこと、アウトドアや車いじりなどの趣味ができることの他に、創作活動や小さな商売を通じて、周辺地域との関わりがもてることが望まれた。また将来の転勤の可能性を考慮して、一部を店舗やオフィスとして貸し出し、週末だけ帰ってくる場所を設けるなど、多様な住まい方にも対応できる計画が求められた。
我々は敷地周辺の農業を生業としている住宅の建ち方に着目した。周辺のそれらは広い敷地の中に、母屋のほか農小屋や耕運機のガレージ、親族の住まいなど、用途ごとに分棟形式で建物を配置してお り、それぞれの建物が庭を囲んで豊かな住環境を作っている。この庭は住民のための作業スペースであり、お客さんを招き入れる、住宅と周辺地域の中間領域ともなっている。
このような中間領域を内包した住宅を考える。地域へと開くことができる機能を住宅に取り込みつつ、庭をつくるように建物をいくつかのボリュームに分ける。これらに大きな屋根をかけることで半屋外の庭と一体となったような住宅を計画する。豊かな緑や地域との繋がりを取り込みながら、様々な使い方やその変化を許容できる新たな住環境をつくる。

入ってすぐのスペースに並ぶ、わかりやすい模型と美しいドローイングたち。木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造のそれぞれの長所を生かした建築で、意匠的にも計画的にもよく練られていましたが、何よりも”気持ち良さそう〜♪”と感じる空間づくりが印象的でした。アカデミックなコンペであっても、「実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの」という募集条件のSDレビューにおいては、身体的な建築の心地よさも大切にされるんだとわかり、なんだかほっとしたような気持ちです。

脇本さん他、入選された方々、おめでとうございます。

会場は代官山ヒルサイドテラス。代官山という街自体に5年以上は訪れていなかったので、ヒルサイドテラスに来るのも久しぶりでした。

展示会場を後にしてしばらくヒルサイドテラスを散策をしましたが、歩いても佇んでも休憩しても、その心地よさといったら…!

学生時代は教科書的な存在としてヒルサイドテラスの素晴らしさを眺めていましたが、実務につくようになってあらためて触れることで、建築の良心を体感しました。

「公共とは」と、問いかけられたような気がします。